1 道具
1−1 テバネ(シャクリ)竿
長さ120センチ前後の短い竿を使用します。夏の浅場では長めの柔らかいもの、冬の深場では短く堅い竿を使い分けるベテランもいますが、船頭の貸し竿で全く問題ありません。貸し竿はそれぞれの船頭が経験に基づいて丁寧に自作した手作りのもので、竿の調子や糸につても毎日船頭がきちんと点検整備してお貸ししております。この一見ペナペナな短い竿で大鯛を釣り上げる快感を是非とも味わってみて下さい。 |
1−2 糸
道糸は通常6号のナイロンラージを使用します。これはさばきが最も良く、昔からこの釣りに使用されているものです。
1−2−1 長さの単位 -ヒロ-
しゃくり釣りでは長さの単位を「メートル」ではなく、「ヒロ」を使用します。1ヒロは1.5メートル。要するにヒロを1.5倍すればメートルです。例えば20ヒロなら30メートルです。両手で糸をつまんで一杯に伸ばした位が標準的な1ヒロですが船頭によって違う事もあります。中には1ヒロが160センチのの船頭もいますが、最近はほとんど150センチに統一されているようです。貸し竿を使う場合は全く問題ありません。その船頭の1ヒロに合わせてあります。
糸には15ヒロ、20ヒロ、25ヒロと5ヒロ刻みに糸で目印がついています。今何ヒロかこの目印を見ることで確認できます。
全ての船頭の指示はこの「ヒロ」で行われます。貸し竿の場合、糸巻きの間隔は25センチとなっています。これは1回巻くと50センチですから3回巻くと150センチ、すなわち1ヒロ上がることになります。反対に3回出すと1ヒロ下がるように単純作業で棚を合わせる為にそうなっています。例えば、「3ヒロ上げて!」と言われたら9回巻けば良いのです。
ご自分の竿を使用する場合、江戸和竿では糸巻きの間隔が伝統的に一尺(30センチ)との物も多いので糸巻きの間隔にはご注意ください。正確な棚取りがこの釣りの命です。
例えば、30ヒロの目印は3つの印、その次の印は35ヒロといった具合です。20、30、40ヒロにそれぞれ2、3、4個の目印、その中間の25、35、45ヒロには1つの目印がそれぞれついています。(表を参照)
例えば、船頭の指示が22ヒロだったします。その際、2個の目印、すなわち20ヒロを竿先に出したあと糸巻きから糸を6回出してください(前に解説したように3回で1ヒロです)。もしくは25ヒロから9回巻いても同じです。それでも心配でしたら竿先から20の目印まで3メートル位にしておけば22ヒロです。3メートルは2ヒロ、普通の体格の方が糸をつまんで両手を広げた長さが1ヒロです。釣行前にご自分の1ヒロ(150センチ)を確かめておくのも良いでしょう。
基本的には船頭は水面から棚までのその日の潮の流れなどを計算して指示しています。 |
1−3 中オモリ
針から6ヒロ半の所に8号の中オモリ(左写真左)がついています。実際の釣りの際、最も重要な事ですが、糸をたぐった時、道糸の入ったタルに入れないで下さい。道糸と一緒にすると糸絡みの原因となります。オモリだけを外に出し、その後のハリスをタルの中にお入れ下さい。テンヤ針も道糸と別にタルの外に出しておいてください。これを道糸の入ったタルに入れると収集がつかないお祭りになります。 |
1−4 テンヤ針
テンヤオモリは基本的に2号を使用します(1.5号を使用する方もいます)。針とオモリ(左写真右)は一体です。竹岡では「ブランコテンヤ」と称するものを使用します。これは船頭が貸し竿にすでにセットしています。 |
2 餌
2−1 餌
餌は生きたサルエビもしくは芝エビを使用します。これはイケスから数匹自分の餌入れのタルに入れて使うのですが生き物です。面倒くさがらず頻繁に海水の交換をして餌の鮮度を保って下さい。これも良い釣果を生む秘訣です。船が移動する際には必ず海水の入った餌入れのタルに針についたエビを漬けておきましょう。繰り返しになりますが餌の鮮度を保つことは重要です。
2−2 エビ餌のつけ方
エビ餌のつけ方詳細へジャンプ(基礎講座エビ餌のつけ方)
餌の付け方が分からない方は船頭の指示に従って下さい。 |
3 つり方
投入 → しゃくり → 合わせ → たぐり上げ
3−1 投入・シャクリ方
まずは巻いてある糸巻きから船頭の指示棚まで糸を出します。指示棚が取れたらしゃくり開始です。
基本的に13秒に1回のしゃくりを入れます。外道の多さや波の具合、深さなどで微妙にしゃくり方は変わりますがとりあえず13秒に1回という基本を覚えて下さい。
一回仕掛けを上げたら次回の投入は(船頭の指示により潮上げもしくは潮下に向かって)テンヤをなるべく遠くに投げます。次いで中オモリをやはり遠くに投げます。遠くに投げる作業で餌がふわふわと潮に乗って落下するのを演出します。この投入後の潮に乗った餌の自然に近い落下に大きなチャンスがあるのです。
たとえ餌が棚にあっても頻繁に仕掛けを上げての再投入が良い釣果に繋がるのはこの為です。鯛は上から落ちてくる餌には敏感ですが、自分より下にある餌には見向きもしない習性がありますので。ウマヅラなどの餌取りも多い釣りです。餌が無くしゃくっている場合も多いので餌の点検はマメに行った方が良い結果を生むでしょう。カラ針でしゃくっている時間がベテランと初心者の大きな違いです。手元に異変を感じた時は面倒くさがらず、是非餌の点検を行って下さい。
船頭の指示棚は守りましょう。初めのうちは底立ちが気になる方が多いようで、指示棚より伸ばしてしまう方が多いようです指示棚より伸ばしたのでは鯛は釣れません。根がかりの危険性が増すだけです。むしろ棚は上に外した方が鯛は食うのです。「鯛は上目が利く」という事を是非覚えておいて下さい。
糸はたぐる時は配られた大きなタルの中に入れて下さい。外に出たりすると思わぬ手前祭りやトラブルの原因となります。船が移動する場合などは、タルの中の糸の上に濡れタオルや小さいバケツなどを載せると風による糸絡みを防げます。
テンヤと中オモリ投入後、糸は軽く左手の上に載せて自然な抵抗の下に出て行くままにします。どんどん手で糸を送り出すと糸がふけてお祭りやスクリューに絡む重大なトラブルの原因となります。決して送り出しはしては行けません。 |
3−2 合わせ
合わせはこの釣りの重要なのポイントです。基本的に鯛釣りは「即合わせ」が原則です。竿に異常もしくは竿先が突っ込んだらすぐさま大きく竿を頭上まで上げて合わせます。合わせたら糸をたるませる事無く、左手で目の前にきた道糸をつかんで2発目の合わせをくれて、次には右手で3発目の合わせをくれてやります。
浅場の夏などにはこれでも針がかりする場合が多いのですが、秋冬の深場では道糸の伸びの為更に4〜5回かそれ以上の合わせをしないと堅い鯛の口を貫けません。この一連の動作の最中に一瞬でも糸の緩みが出るとバラシの原因となります。いわゆる「合わせが甘い」というのがこれです。合わせが甘いと途中まで折角あがっても針外れでホゾを噛む事になりかねません。竿の合わせのあとは慌てて糸を早く掴もうとするあまりドタバタしてバラス場合が多いようです。当りがあったら慌てずにしっかりと糸を掴んで合わせて下さい。 |
3−3 たぐり上げ
掛かったら同じスピードでたぐります。鯛は途中で突っ込みます。大きい場合は糸を緩めずに送ってやり取りします。無理は禁物です。しかし、この最中で糸をたるませてはいけません。一瞬のたるみで針が外れる場合も多いようです。
寒い冬などは手袋をしたくなります。しかし、これは手の中の糸が滑らないので急に鯛に突っ込まれた時に、糸が出ず思わぬハリス切れなどでホゾを噛む結果となり易いので、手袋はしない事をお奨めします。手は最高のドラッグです。その性能を損なわない様に。
中型までは良いのですが大型や青物の場合、中オモリまでたぐったら中オモリを口にくわえます。これは急な突っ込みの際にすぐに口を開けて中オモリをリリースする為です。ここまで出来れば立派なしゃくりフリークですね。
小さい鯛でも抜き上げず大事にタモで丁寧にすくいましょう。水面バラシの多い釣りですし、やっと掛けた真鯛ですもの。タモ取りはすくうまでタモ網を水中につけて待っていたりしてはいけません。水中にタモ網を入れると鯛が驚いて暴れバラシの原因になりかねません。水面上で準備して頭の方から一気にすくって下さい。タモ取りは慣れた仲間か船頭にお願いしましょう。 |
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4 終わりに
しゃくり方には波の高さ、潮の澄み具合、深さ、外道、水温、季節などによっていろいろなバリエーションがあります。テンヤや仕掛けにもその時々によっていろいろ、それぞれの釣り人の工夫があります。それがこの釣りの醍醐味と奥の深さでしょう。が、逆に全く初めての釣り人がベテランを差し置いて真鯛を手にする事もよくあるのがこの釣りの面白さです。一人でも多くの方にしゃくり釣りの魅力を知って頂ければ幸いです。
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